実りの秋…

13/13
前へ
/430ページ
次へ
翌朝、日課のロードワークをするために、マンションのエントラスへ降りてくると、小野寺がいた。 「おはよう、透君♪…あれ?…目が、うさぎさんだが、なんかあったか?」 「えっ!?本当!?…やばっ…。」 必死にゴシゴシやる俺を見ながら、小野寺のやつ、腹を抱えてやがる…。 「最近のお前、喜怒哀楽激しいなぁ。…俺は、ちょっと安心した。 なあ、こっちが、本当のお前だろ。で、何があったんだ?」 「聞くなよ…恥ずかしいから…行くぞ…。」 「あっ、ちょっと待てよ!」 誤魔化すように、俺は、ロードワークを始める。 最近、毎日というわけではないが、小野寺が、今朝みたいに、一緒に走ってくれる。別に、俺から誘ったわけでもないし、一緒に走らせろと、小野寺から、言われた訳でもない。なんとなく、時間が合ったら、一緒に走る。 まあ、それだけなんだけど…近くにいる感じがして、ホッとする。 「ハッハッハッ…なぁ… なんで、うさぎさんなんだよ…ハッハッハッ…。」 「ハッハッハッ…走りながら、聞くな…ハッハッハッ…」 「ハッハッハッ…だってよ…気になるだろ…ハッハッハッ…キツい…何回走っても…ハッハッハッ…この坂~ぁ!!」 「ハッハッハッ…なら、黙って走れよ…」 言いながら、なんだか、頬が緩んでくる。 後で、話してもいいか…とっくに、グダグダな俺を、さらけ出してるもんな。
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加