第1章勝ち星

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 しかし、そんな緊張も一人の少女の言葉で和らいだ。 空手部の女子の群れの中から特に大きな声で応援する女子がいた。 その少女は佐野あすみ、 悠来の彼女だ。 あすみは悠来に向って叫んだ。 「悠来、部長なんかに負けるな!頑張れ」  悠来はあすみの言葉を聞くと軽く頷いた。 そして、 力強い掛け声と共に試合は始まり、 序盤、 仲村の強い攻めに圧倒されていた悠来だが、 後半悠来の力強い中段突きに回し蹴り結果は悠来の勝ちだった。  試合が終わると あすみは一目散に悠来のそばに駆け寄った。 そして、 溢れんばかりの笑みを見せながら、 「おめでとう。やっと勝てたね」 「やっとは余計だ」と、はにかんで見せた。   着替えを終えた二人は仲良くクラスに入っていった。
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