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市川 美鈴
「じゃあ後は頼むわよ慶次」
ああ。と頷く慶次を横に見て
ここ《遮断の牢獄》から出る。
《遮断の牢獄》はあらゆる魔法の介入を防ぐという機能を持った牢獄。もちろん中からの魔法発動も抑される。
先のドラゴン討伐で得たギルド資金で長谷川 薫を投獄する為だけに今朝建設したの。
ギルド資金とは、ギルドメンバーがモンスターなどを討伐した時に得た金額分、ギルド資金として調達される。
例えば
100円のモンスターをギルドメンバーが倒したとすると、倒したメンバーの所持金に100円が加算され、さらにギルド資金としても100円が加算される。
あくまで討伐時であり譲渡され所持金が増えたとしてもギルド資金には影響しない。
さらにギルドメンバーが所持金を使用した所でこれもギルド資金への影響はない。
部屋を後にした私の前に隼人が廊下の壁に寄り掛かり立っていた。
「あら隼人。迎えに来てくれたの?」
隼人は私を見つけると、私の歩幅に合せて横を歩く。
「そんなとこ。てかやっぱり晴人だけには伝えておくべきだったんじゃないの?幼馴染拉致ったら普通こうなるだろ?」
隼人は上からする音を指差しながら渋い顔をする。
「誠也もまだ子供なのよ。優希の為にも神崎君には強くなってもらいたいんじゃないかしら?」
「気持ちはわからなくないけどね。俺もつい、あいつには強く当たっちゃうし」
「優希は幸せ者ね。彼氏までみんなに気にかけてもらえて。それより組手はどうだったの?」
「美鈴さんだって隊長に愛されてんじゃん。俺だけだよ独り者は」
どうだか。
私…ベッドの上での言葉は信じない主義なの。
「それで組手の方は体術的なものは話にならない。でも魔法の才能は、ずば抜けてある。反省を活かす力もあるし、向上心も充分。アイツはすぐに化けると思うよ」
「そう。ならここが大事ね。下手したら可愛い優希と逃げられちゃうわよ?」
「あぁ、そろそろ行ける?」
「とっくに平気よ。なんか言い出せる空気じゃなかったから」
…座標確定…
「早く言ってよ!美鈴さん!今遊んでるばあ…」
…転移。
隼人の会話の途中だったけど私達はギルドマスター室へと転移した。
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