君と?

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お祭りでもない普通の日だけど、鴨芽銀座商店街にはビニールの国旗が街灯から街灯へと張り巡らせてあって。 北風が吹くと、バタバタと音をたてる国旗。色褪せたビニールが透けて意外と綺麗だったりする。 ここには一人暮らしには贅沢品の揚げ物も、婆ちゃんが作ったみたいな醤油の染みた煮物も、格安で種類豊富に揃っている。 「あら、今帰り?」 「はい。寒くなりましたね」 馴染みの店も出来て、地味な一人暮らしを謳歌している。 いつかは… 大好きな彼氏と手を繋いで?みたいなこともやってみたい。 キャーキャー!! 私ったら、私ったら、んもぅ。 妄想が膨らんでマフラーでにやける口元を隠して、商店街を早歩きする。 「寿々ちゃん、おかえり」 笑顔で声を掛けてくれたのは、魚屋【フレッシュフィッシュ】の奥さん。今日は買わないから、軽く会釈をして店の前を通り過ぎようとして店のお客さんたちが話す声が微かに聞こえた。 「履き物屋の爺さんが…」
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