君と?

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気にはなったけど、その話に入っていけるほど図々しくはない。 履物屋の爺さん…って言うのは、ウチのアパートの大家さんのこと。お爺ちゃんは夏から入退院を繰り返してるって聞いていたから少しだけ心配になった。 田舎から出てきた私に、最初に優しく接してくれたのは【古市履物店】の老夫婦だった。 海外にいる孫と同じぐらいの世代だと言って色々気にかけてくれたのが始まり。 ここの商店街に通うようになって、ウチのアパートの大家さんだと教えてもらった。 「ただいまぁ」 風呂付き和式トイレで畳敷きの6畳の二間。昔っぽい作りだけど、落ち着くこの空間が私の城。 今日は野菜たっぷりの鍋焼きうどんにしよう…冷蔵庫から大根と白菜を取り出して。鍋に湯を沸かし始めた頃には大家さんのことは頭から消えていた。
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