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そして月日は流れ - 約十年後。
「ウル~!」
「シェズ! また城を抜け出して来たの?」
十歳の誕生日を目前にしたウルアはいつものように自宅である王城近くのセルリア公爵家の庭で木刀を手に剣士のまねごとをしていた。
そこへやって来たのが第一王子のシェスタジヤである。
双方の父の願い通り二人は親友となっていた。
シェスタジヤが一人でセルリアの屋敷へ来るぐらいに。
ウルアが殿下ではなく、家族同然にシェズと呼ぶのを許されるくらいに。
実のところは従姉弟同士になるため気が合うのもおかしくはないのだが。
とは言え、二人とも立場に相応しい教育を受けている身。
午前中はもちろん、午後も教師による講義があるのでこうして会えるのは夕方近くなってからである。
シェスタジヤはともかく、ウルアがなぜそれほど学ぶものが多いのかというと…
父のセルリア公爵はいつか家を出ていく娘に、それでも出来る限りの事はしようと努めているからだ。
むしろ十年という限られた時間がある分、ウルアの方が拘束時間は長い。
そのためシェスタジヤが遊びに来るというスタイルが出来上がった。
もっとも、その後二人で王城に出向くことになる日もあるのだが。
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