61人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
今日、街で君のことを見かけたよ。
あの頃より、ずい分と背が伸びたようだね。
ひとりぼっちだったけれど、友達はできたのかな。付き合っている人はいるのかな。
あれから三年経つから、もう高校三年生になるんだね。
相変わらず数学は苦手なのかな。
本当は君の声を聞きたかったけれど、交差点の信号が変わって横断歩道を渡る君の背中が小さくなるのを、僕には見送ることしかできなかった。
君は僕のことを怒っているかな。軽蔑しているかな。
いや、僕のことなんて、君はすっかり忘れてしまって、覚えてもいないのかもしれないね。
むしろ、君にとってはその方がいいのかもしれない。
だけど、僕は君のことを今も鮮明に覚えているよ。
きっと、一生忘れることはない。
どれだけ後悔しても、もう戻ることはできないし、戻すこともできないけれど。
それでも僕は、これから先も忘れることなく、何度でも思い出すだろう。
あの頃の愚かな自分と、僕が傷つけた君のことを。
最初のコメントを投稿しよう!