太陽の翼

第1章

アルニカはすうっと滑るように地上へ降り立った。黒く空を覆っていた闇に切れ間ができ、光が差し込む。
アルニカは希望の光を見つめながら、体の異常に気がついた。
(私…人間の姿に戻ったはずなのに…)
爪も、肌の色も、ヴァンパイアの姿に戻ってしまっている。
腕についた噛み跡に目を向けた。
(これのせい…？私の体に、また吸血変異が起こってる？)
それならすぐに陽の光を浴びれば元の姿に戻れるだろうと、闇が晴れ始めた広場の真ん中に座り込んだ。早くこの姿から戻りたいとはいえ、もう一度飛んで身を灼くには体力を消耗しすぎている。
街の人々は身を隠していた建物の陰から空を見上げ、戻ってきた太陽を称え喜びあっている。
広場に集まってきた人々は、街を救った英雄がそこにいるのを見た。