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『ねえ、誰か、いる?』
はじめ、僕はそれを幻聴だと思った。
ここは、他の牢屋からも遠く離れた特別な地下牢。
食事を運ぶ看守以外は、まず近寄らないような場所である。
あ、言っておくけど、僕は罪人じゃあない。
こう見えて実は、『囚われの王子様』なのだ。
……悪かったね、『お姫様』じゃなくて。
一週間程前、僕は初めて戦場に立った。
だけど、剣も魔法も別に得意じゃないし、当然、戦果なんて上げられるはずもなく、それどころか、驚くぐらいあっさりと敵兵に捕まってしまった。
でもって、簡単に王子と素性がバレ(初陣だからって豪華な装備着けてたからなあ)、こうして人質として幽閉された、という訳である。
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