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「君、やたら私に近づいてくると思ったら、私の娘ねらいだな! だが残念だね、
娘は牽制のつもりで君の電話番号を私に渡したようだ。君のことなんて」
「へーえ。近づいていることは気づいてたんだ。天然さんだから気づいていないと思っていたのに」
そう言うと、氷水で冷やしていたワインを取り出し、布巾で拭くと、徐に栓を引き抜いてシャンパングラスに注いだ。
「天然さん?」
「俺は、蘭丸さんが好きなんですよ。キスして抱きたい程度に」
「ほほう、私を好きか。す……き?」
好き!!!!!!!?
グラスを優雅に回しながら、香りを楽しむ姿さえ絵になる美しさ。
だが、瑛君はれっきとした男であり、私もこんな容姿だが男であって。
「気づいてくれなかったんだ。胡蝶ちゃんはすぐに気付いて『お父さんは右側? 瑛さんは左よね』とか言う程度には応援してくれてるのに」
右側?
応援?
「ああ、良いです。分からないなら――分からないままで。そんなところも貴方の魅力なんですから」
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