枕元のプレゼントがありません!

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体中に花弁が舞い散る朝――……。 「ああ。――うん」 誰かの声がする。 誰かが電話で話している。 「ありがとう。胡蝶ちゃん。まだゆっくりしといで。俺から蘭丸さんに言っておくから」 俺から蘭丸さんに――?? ん? けだるい(特に腰が)身体を起こして、電話している人の背中を凝視する。 痛々しい噛み痕や、ミミズ晴れのような赤い線が浮いている背中。 可哀想に。引き締まった男らしい背中なのに。 誰がつけた……、? 誰がつけたのか? 誰が? 「あれ? 蘭丸さん起きちゃいました? おはようございます。ちょっと待ってて下さいね」 嬉しそうに笑うその男は、前髪が下ろされなんだか少し幼い印象があり、一瞬誰か分からなかった。 「君、今誰と話してたの?」 ボーっとしながら話しかけると、コップにアイスコーヒーを注いで持ってきてくれた。 「君、じゃなくて瑛って呼んで下さいよ。――昨日の夜みたいに甘く」 「昨日の夜?」 コップを受けようとして起き上った私は、自分の姿に思わず固まった。 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! なんで裸!」 体中に広がる赤い花弁は、ななななな何? 色が白いせいで、何だか酷く目立っている。 「昨日――激しかったですよ、蘭丸」 フッと耳元で甘く呼び捨てされると、ゾクゾクと身体が甘く痺れた。 昨日? 激しい?
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