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(自分がつらいのに……何で、こんなときまでオレのことを気づかったりするんだよ?)
その顔を見て、ズキンと胸が痛んだ。
「わかった。救急車は呼ばないから……だから、もうしゃべらないで寝た方がいい」
慧は小さくうなずいてまぶたを閉ざそうとしたが、ふと何かを思い出したように、もう一度目を開ける。
「今夜は、餓鬼は出ませんから……奏太さんも……今夜はゆっくり休んでください」
それだけ言うと、慧は今度こそ体力を使い果たしたように、ぐったり目を閉じてしまった。
(今夜は、餓鬼は出ない? 何でそんなことがわかるんだ?)
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