4 台風の夜-2

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(自分がつらいのに……何で、こんなときまでオレのことを気づかったりするんだよ?)  その顔を見て、ズキンと胸が痛んだ。 「わかった。救急車は呼ばないから……だから、もうしゃべらないで寝た方がいい」  慧は小さくうなずいてまぶたを閉ざそうとしたが、ふと何かを思い出したように、もう一度目を開ける。 「今夜は、餓鬼は出ませんから……奏太さんも……今夜はゆっくり休んでください」  それだけ言うと、慧は今度こそ体力を使い果たしたように、ぐったり目を閉じてしまった。 (今夜は、餓鬼は出ない? 何でそんなことがわかるんだ?)
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