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(あれ? そういえば……雨も風も、いつの間にかやんでる。台風、いつ通り過ぎたんだろう……)
慧の首に腕を回しながら、オレは、頭の隅でぼんやりそんなことを考えていた。
それと同時に、『あなたには、決まったお相手がいるからです』という、さっきの慧の言葉が、ふいによみがえってくる。
慧が言ったこと──そして、まだオレに話してくれていないたくさんのこと。それを考えると、漠然とした不安がこみ上げてきた。
でも、今だけは、この一時の幸せに身をゆだねていたかった。
緋色の祈り4に続く
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