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彼女の記憶がないという話が本当だろうが嘘だろうが、
例えすべてが偽りで騙されてるんだろうが、
アイツがたとえ悪魔の使いだろうが構わない。
もうそんな感じだった。
いろいろあったけどやっと思いが通じて最高に浮かれたのも束の間、
あっという間に彼女は他の男と消えた。
――伸也
アイツはその男のことを愛おしそうにそう呼んだ。
会ってわずかな期間しか一緒にいない俺なんて全く太刀打ちできないほどの歴史を感じさせる親密そうな二人。
俺なんかよりずっとアイツにふさわしい洗練された大人の男。
悔しいけど誰がどう見てもお似合いの二人。
『私は遼に相応しくないから』
最初のころアイツはよくそう言っていた。
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