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未練いっぱいで知りたくなかったから自分で耳に入ってこないようにしていただけだ。 でもちゃんと千紘が遼をてっぺんまで連れて行ってくれたのは知ってるよ。 みんな夢が叶って良かったね。 「あの…CRANKを世に送り出したのってマリアさんなんですか?」 遠慮がちに、 でも興味いっぱいって感じで男の子の一人が聞いてくる。 「そういうわけじゃ…」 私の言葉を遮って千紘が横から口をだす。 「おぉ、 小さなライブハウスでくすぶってた俺たちを育てたのはこいつだし、 そもそも遼が書く詞のほとんどはこいつのことだぞ」 「じゃ、 あのデビュー曲のLady Luckって…」 「そう、 この女。 櫂に売れる曲の作り方教えたのも、 俺にプロデュース業の基本を鬼のように叩き込んだのもこの女」 男の子たちからざわめきが起こる。 もう、 千紘ったら相変わらず大げさで口が悪いんだから。
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