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「あのさ~。 うちのマネージャーが何言ったか知らないけど、 俺そういう気分じゃないから。 でもとりあえず出てきてくんない?」 …そんなこと言われても。 足が動かない。 会ってちゃんと謝らなくちゃという思いと、 会う資格ないし今更会えない、 そんな思いが渦巻いていた。 バスルームの扉には鍵をかけておらず、 かといって今更鍵をかける音を聞かれるのもまずい気がして、 私は洗面台を背にしてパニックになりかけながら扉を見つめていた。 もしも遼がその扉を開けて現れたらどうしよう… が、 遼は自分から開けるつもりはないらしく、 ドアの前で黙って待っているようだ。
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