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どうしよう。
護衛のはずの藤原君は一撃でノックアウト。
私もんりょっぷも武器になりそうなものは持ってない。
……ここは大人しく逃げるべき?
でも、追いかけてくるかも。
そんなことを考えてる間に、おさるさんことかずは、動かない藤原君で遊ぶのを止め、今度は、未だに優雅に珈琲を啜っているんりょっぷに近付いた。
こ、今度はんりょっぷがかずの餌食になっちゃう。
ゆっくりんりょっぷに近付くかず。
んりょっぷの足元まできて、今まさに飛び掛からんとしたとき、ゆっくり、んりょっぷがかずを見た。
瞬間、かずは
「キッキキー」
と悲鳴をあげながらんりょっぷから跳んで逃げた。
何があったんだろう。
見たところ、かずはんりょっぷに何もしてなさそうだけど、本当にケガとかしてないかしら?
心配になった私はんりょっぷに声をかけた。
すると、んりょっぷはゆっくり振り返った。
そして、私を睨み付けた。
その顔は、微笑んでいた。
目以外。
その目だけが、怒りを表していた。
例えるなら、背後に怒りのオーラを纏っているような。
ゴゴゴッ、そんな効果音が聞こえてきそう。
「私、今珈琲を飲んでいるので、邪魔しないでくださいね?」
はい。
私は心の中で頷いた。
おそらく、かずも。
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