津軽海峡殺人事件

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◇◇◇ 広い城内、仲間とはぐれ、この場にいるのは私ともう一人。 傷一つない、漆黒の鎧に身を包んだ"魔王"。 ボロボロの私とは対照的な"こいつ"を倒すためだけに私達は旅してきた。 国のため…… 平和のため…… 愛しいあの人のため………… 愛用の剣は薄汚れ、最初に手にした時の、まるで、この世の希望全てをかき集めたかのような輝きはもうない。 刃こぼれが目立つ、傷だらけの剣。 それでも、それでも私はあきらめない。 『ここはまかせて、お前はいけ!』 あきらめるわけにはいかない。 『行ってください!……後から追い付きますから、必ず』 みんなが……。 『あんたに託したからな』 託してくれたから……。 『……俺達の希望を……たの……』 世界の希望を、みんなの希望を! 「なぜだ!なぜ、そんなボロボロでまだ刃向かえる?すでに仲間はおらぬぞ!小娘一人で何が出来る!」 今まで一言も喋らなかった"魔王"がようやく口を開いた。 見た目はピンピンしてるけど、案外追い詰められてるのは私より"魔王"なのかもしれない。 私は自信たっぷりに答える。 それが、さも当然であるかのように。 いや、当然なんだ。 それが人だもの。 「私は一人じゃない。確かに今この場には私しかいない。でも、私はいつも誰かと一緒に戦ってきた!あなたみたいな孤独な王様とは違うのよ!」 そのとき、傷だらけの聖剣の刀身から光が溢れだす。 ……ようやく、ようやくなのね。 「魔王、覚悟」 ◇◇◇
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