第1章

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赤と緑と金色が眼に映り、否応なしに浮かれた音楽が耳に入り込む。 そんな賑やかな喧騒の中を仕事帰りの俺は目的地に向かって足早に歩いた。 文哉からメールが来たのは、間もなく定時になろうとする頃だった。 『いつもの所にいるから』 約束の時間を既に一時間近く過ぎているが、文哉なら待ってるはず、と根拠のない確信を持っていた。何故なら、今までもそうだったから。 会社から歩いて15分程のカフェはいつもの落ち着いた雰囲気で変わりなく営業していた。 店内を見渡すと、窓際の隅の席で、ボンヤリと外を眺めている文哉を見つけた。 すぐに出るつもりでコートも脱がないまま、文哉の向かいに座ると、俺を見ることなく口を開いた。 「もう、終わりにしようか。」 .
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