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来た道とは少し違う山道をシールに色々と教えながら早足で戻り、英士はなんとか予定の時間迄に宿にたどり着く事が出来た。が、
「で、爆発の衝撃が円錐の中心に連続して集まるから、一点に威力を集中させる為、に……」
「へぇーそんな事が出来るのか、うん?」
立ち止まった二人の先には氷の様な冷たい表情で腕を組み、仁王立ちで宿の軒下に佇んでいるリリアがいた。
「あら英士さん、二人で何処かへお出掛けでしたか?」
全く表情を変えずに発したリリアのその一言だけで、二人は冷水を頭から被ったかの様な寒気を全身に感じた。
「い、いえ……いやはい、ちょっと街の外れまで……」
リリアの身に纏う絶対零度の雰囲気に圧倒されて英士は否定するつもりもないのに許しを乞うようにリリアの質問に最低限の出来事で答えた。リリアは腕を組んだまま英士に近づくとじぃ、と英士の眼を見つめた後に深い溜め息を一つ吐いた。
「また危ない事をして……」
「う……す、すいません……」
ハァ、と今度は短い溜め息を吐いた後、ベチッと英士の頬を叩いてリリアは彼の首筋辺りに顔を埋めた。
「ばか、死んじゃったらどうするんですっ……」
「……すいません」
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