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「は?!ぁぁああぁあああぁ??!!?」
一呼吸の間を置いて、シールの絶叫が森に木霊した。
「ち、ちょっと待ってくれよ!じゃああれか?兄ちゃんは剣のスゲー使い手とかか!だったらほら、オレの剣貸してやるからズババーっとやってくれよ!」
「この体型とメガネ見てよ!どうみても運動出来ない奴の典型じゃないか!て言うか、魔物を討伐するのに何で僕だけにしか声を掛けないんだよ!」
「仕方ねーだろ!こいつらが此処に集まってるのほんの少し前にわかったんだぜ!?ねーちゃん達にまで声かけてたらこその間にこいつらどっかに行っちまうだろ!だから簡単に着いて来てくれそうな兄ちゃんに頼んだのに勇者パーティの一員が何で魔盲なんだよ!?」
「そんな事言われたってしょうがないじゃないか!成り行きでそうなっちゃったんだよ!そもそも僕、は…………」
フッと、言い争う二人のいる空間が暗くなった。その為二人は言い合いに使っている思考の何割かを外に向けることで、ようやく自分達にすぐ側まで近付いている脅威に気が付いた。
ギギギ、と首の間接が錆び付いたかのようにぎこちなく二人は揃って同じ方向に90度顔を向けた。そこには当然の事ながら二人を凝視するリゼルツリーの姿があった。
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