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「「うわああぁあああぁあああ!!!!??」」
絶叫と共に二人は一目散に逃げ出した。その後を木の根に似た脚で地面を掻くように走る大量のリゼルツリーが追いかける。
「こんの、野郎がぁああ!!!」
突然脚を止めて、迫り来るリゼルツリーの群れの方を向いてシールは自身の剣抜き、渾身の力を込めて横に薙いだ。すると一瞬で弧を描いた切っ先から燃え盛る斬撃が生まれ、先頭を走るリゼルツリーの幹に直撃した。
が、それはリゼルツリーの分厚い木の皮を破りはしたものの太い幹を切断するには至らず、結果としてはそれなりの切り傷と焦げ目を残しただけだった。
「ちくしょーっ!!」
悪態を吐いて再び反対側へ体を向けて走り出す。リゼルツリーの動きは速くはないが図体の割りに遅いわけでもない。更に相手は魔物で疲れなど殆ど感じなが、二人は凹凸のある山道を走る事ですでに息が上がり始めていた。
「はぁっはぁっ、近くに水のある、所はある?」
「ぜぇ、この先にあるけど、どうすんだ?」
「そこに、連れてって、このままじゃ、かなりまずい」
「はぁはぁっ、こっちだ!」
少し先を走るシールの後ろを英士は着いてく。足は既に力が入りにくくなっている。段々とリゼルツリーとの距離は縮まり初め、このままでは数分と持たずに追い付かれ殺されるだろう。
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