理科の時間

14/17
前へ
/31ページ
次へ
何十もの殺気を浴びながらシールは前へ向き直ると、ギュッと固く剣を握った。そして今度はしっかりと両足を踏ん張り全身の力を込めて、完璧に術式を組んだ文字通り全力の一撃をリゼルツリーに叩き込んだ。 風を切って進む火の斬撃はシールから一番近いリゼルツリーに直撃し、胴体を真っ二つに焼き切った。 「っしゃ!やったぜこのやろー!」 小さい握り拳を作って敵を倒した事にシールは歓喜するが、なぜか他のリゼルツリー達は仲間が倒された事など意に介さずに、先と同じ様に低い叫び声をあげている。 「なんだコイツら……?」 その事にシールが疑問を抱いたのと動じに、群れの中の一体が激しく体を揺らし出した。更にその隣の一体も、また更に他の一体もとしだいに増えていき、全てのリゼルツリーがその場で身を大きく揺さぶり始めた。そして次の瞬間、突然リゼルツリー達は一斉に枝や根等の体の先端を急激に伸ばし始めた。 次々と伸びていく枝や根はバキバキと折れながらもどんどん絡まっていき、リゼルツリー達を一つに纏めていった。そして更に枝や根が絡まり合うと広がっていた群れは中央に集まるかのように小さくなり、しだいに葉、枝、根、節、幹とくっついていき、群れは一つの個となった。 
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

248人が本棚に入れています
本棚に追加