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鉄で作られた水筒のような容器の中に、木炭と硫黄、硝石を1:2:7で混ぜた粉を詰めて、固く蓋をする。
蓋には直径5mm程の小さな穴が空いており、そこに雷酸水銀の塊を嵌め込み、蓋に針とバネと木で作られた器具を取り付け、バネで引かれる針をピンで固定する。
容器をヒモで結び、ゆっくりと慎重に真っ黒に焦げたイビルツリーの口の中に下ろしていく。作業を終えた英士はイビルツリーから充分離れて、シールが安全な位置に要ることを確認すると、イビルツリーの口から伸びているヒモを強く引っ張った。
その衝撃で針を止めていたピンが外れ、雷酸水銀を叩くと、容器の中を火花が走った。鉄の壁によって高められた爆圧はイビルツリーの体を轟音と共に引き裂き、その巨体を一瞬で木屑に変えた。
「す、すっげー……あれもカガクってやつの力なのか……?」
「うん、パイプ爆弾って言って、爆発の力を一瞬溜めるから威力が高くなるんだよ、しかも容器の裂けた破片も飛び散るから結構危ないね」
「うーん、なんとなく分かった、なぁなぁ他には何かねぇのか?もっと教えてくれよ」
「いいけど、帰りながらね」
ナパームの業火でこんがり焼かれたイビルツリーを英士は、再生するかもしれないから念には念を入れて、との理由で粉々に爆破するという容赦の欠片の無い止めを刺して、一仕事終えたような顔をして街へと戻っていく。
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