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足を左右に開いても、唇を合わせても、太陽は声も洩らさなかった。
太陽の中での俺が、もういない。
だったら最後に、お人形みたいな太陽を優しく優しく抱かせてもらう。
甘い、甘い、キスをする。
それが嘘で塗り固めていても。
それが、俺と太陽の最後の夜だった。
最後の夜は、言葉も交わさない、視線さえ合わない、味気ない嘘の味がするキス。
心を満たさない、身体だけ繋げる行為。
それでも、俺は貴方が好きなんです。
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