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千秋は初めて持った椿たちのクラスをずっと持ちあがってくれたんだけど、来年の卒業式前に結婚と同時に海外へ旦那の転勤についていくことになったらしい。
おっとりした可愛い、保育士は天職のような千秋だ。嘆く保護者も子供も多い。
椿もこのとおりメソメソだ。
それでなくても、大きくて丸い瞳、色白の肌。泣き虫で大人しい性格。
こんなよわっちい性格じゃ、いじめられてもやり返せない。
やっぱ椿には、子供ボクシングや空手を習わそう。
「そういえば、ははのひのえ、まいとし、ちあきせんせいかいてるよね」
「ああ。俺でもいいのに、お前千秋先生ばっかだ」
「でもいっさいのおれがかいたちあきせんせいは、だんごみたいだったよ」
団子――……。
その言葉に、あの日の記憶が蘇る。
椿が描いたのは、あいつの眼鏡。
でも椿は、5年も前の赤ん坊時代の事を覚えてるわけない。
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