十言、仕事

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「ぱぱ?」 「好きなお菓子でも描いたんじゃね? お前、甘いもの好きだし」 誤魔化す。 誤魔化すというより、もう忘れてしまいたい。 無かったことにしたいんだ。 「ほれ、はやく描いてオヤツにすんぞ。ドーナツ買って来てるんだ」 「やった! えきまえのぎょうれつてん?」 「ああ。行列店だ」 一体何処でそんな言葉を覚えてくるのか分からねーが。 椿は俺に似て、甘いものが好きなようだ。 ドーナツと、身長を伸ばすために牛乳を飲まそう。 「ぱぱは、ちあきせんせいにはなたばつくってあげるの?」 「ああ。それぐらいしか出来ることないからな」 「じーじが、ぱぱのはなたばは、だいなみっくでびゅーてぃふるっていってたもんね」 「っち。あのじじい、生意気に英語で感想なんぞ言いやがって」 「おれもぱぱのはなたばすきだよ」 そう言われると、もう何だか他はどうでもよくなって来る。 「かわいいな。ちゅーしてやろうか」 「えのじゃましないで」
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