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「太陽さんも……幸せになってくださいね」
「ああ。俺は当分仕事と椿が恋人だけどな」
「ふふ」
冗談で言ったつもりだったが、千秋は寂しげに笑う。
「俺、変なこと、言った?」
笑いを取ろうとしたつもりが、おかしいな。
「ううん。ただ、太陽さんの背中が儚げだから、消えてしまいそうで」
「女子か、俺は」
「一人で頑張り過ぎないでほしい。いつか壊れてしまうから」
いつか壊れてしまうから、か。
いつか、じゃない。
もうとっくにガタは来ていて、壊れているのかもしれないけども。
「ああ。まぁ、気を付けるよ」
「いつか、――いつか緑さんとも仲直りしてあげて下さいね。椿君にとっては大切な叔父さんにあたるんですから」
「……」
それだけは、海外へ飛び立つ千秋を安心させたくても、嘘は付けなかった。
謝りに来るなら、もっとちゃんと来るだろう。
でも、あいつは逃げた。
俺と会うのが怖くなったのか、俺にぼこられて愛想をつかしたのか、親に言いくるめられたのか知らないけど。
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