十言、仕事

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「太陽さんも……幸せになってくださいね」 「ああ。俺は当分仕事と椿が恋人だけどな」 「ふふ」 冗談で言ったつもりだったが、千秋は寂しげに笑う。 「俺、変なこと、言った?」 笑いを取ろうとしたつもりが、おかしいな。 「ううん。ただ、太陽さんの背中が儚げだから、消えてしまいそうで」 「女子か、俺は」 「一人で頑張り過ぎないでほしい。いつか壊れてしまうから」 いつか壊れてしまうから、か。 いつか、じゃない。 もうとっくにガタは来ていて、壊れているのかもしれないけども。 「ああ。まぁ、気を付けるよ」 「いつか、――いつか緑さんとも仲直りしてあげて下さいね。椿君にとっては大切な叔父さんにあたるんですから」 「……」 それだけは、海外へ飛び立つ千秋を安心させたくても、嘘は付けなかった。 謝りに来るなら、もっとちゃんと来るだろう。 でも、あいつは逃げた。 俺と会うのが怖くなったのか、俺にぼこられて愛想をつかしたのか、親に言いくるめられたのか知らないけど。
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