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『ああ、もしもし? 俺、雷也。寒田 緑ってやつがマネージャーだって言えば電話してきた理由分かるか?』
それは、一本の電話から再び始まった。
『寒田がいつまでもこの電話番号残してるのが、女々しくてさ。事務所の社長が、お前に似てる俺を寒田に宛がったんだし、いい加減寒田を楽にしてやってくんね?』
「てか、ガキくさい喋り方だが、お前誰? 口の聞き方には気を付けろよ」
ライヤという名前なんて聞かされても、全く知らないが――嫌な名前を持ち出してきやがった。
吐き気がしてきそうだ。
『俺は頼まれただけだもん。寒田が結婚するから、あんたから花束を贈って解放してやれって。貰いに行くからさ』
その言葉は、俺の腸を煮えくり返すのには十分だった。
あんなに、好きだったのに、こうも簡単に人を憎めるのか。
だが、、花束を作ることで俺の心が解放されるなら作ってやる。
最高の、――花束を。
「こっちの条件を飲むなら、考えてやるよ」
そう言って俺は、時間を指定した。
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