十三言、嘘つきな花束。

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◆◆◆ 「いい加減、高校だけはちゃんと卒業しれくださいよ!」 「はいはーい、うるせーな」 「雷也!」 デビュー前に根性を鍛えてやろうと同居してみれば、好き嫌いは多いし、夜はふらふら遊びに出掛け夜中まで帰ってこない。 気に入らないことがあると壁に穴を開ける。 本当に、この子は癇癪持ちの子供みたいだった。 「雷也、お前は俺と住むのもストレスになるみたいだな」 「寒田が悪いわけじゃねーよ、俺、他人が駄目なだけで」 はぁ。 本当に手が掛る。キミが歩いて行く芸能界は、他人との関わりが大事だと言うのに。 「今から、ペットショップ行くぞ」 「なんでさ」 「お前みたいに心が不安定な奴は、アクアリウムを始めると良いと思うからだ」 「アクアリウム?」 「熱帯魚を、照明や水草など環境を整えて育てることだ。綺麗で心が癒されるぞ」 ガサツだが、繊細なこいつには合っていると思う。 「行くぞ」 「あ――。や、ちょっと今日はヤバい」 「何がやばい?」 雷也は、しまったと口を滑らせたことを明らかに動揺していた。 「雷也?」
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