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ああ、この子は本当にもう、救いようがない。
残念ながら、俺はキミを代わりになんてできないのに。
「君にもいつか、そんなに大切に思える相手が現れれば分かりますよ」
「んだよ。俺は今、そんな話ししてねぇよ」
「すいませんが、今はキミと話をするより、先に彼の誤解を解きたいのですが。
指定する公園で待っててくれますか?」
雷也はむっとしながらも、頷く。
「いい加減、縁を切るか仲直りしやがれ」
そんな簡単な話ではないんです。
20歳の時から会わずもう八年。
太陽から冷たく拒絶された瞳で見られるのはずっと怖がったが、会わなくては。
また彼を傷つけているのか。
それとも、彼は俺の婚約なんてもうどうでもいいのかもしれない。
そんなに俺を臆病にさせるのは、彼に酷い嘘をついてまで恋人の位置にいた後ろめたさからだ。
それが俺に後ろ向きにさせるんだ。
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