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「違うんだ、俺は今回は本当にその、雷也が嘘をついただけで、キミを騙そうなんて微塵も思っていなかった。太陽にただ、許して貰いたくて、ずっと苦しかったんだ」
情けない、覚束ない言葉で必死で言いわけの言葉を並べた。
情けなくてもいい。呆れられてもいい。
ただもう、『嘘』でキミを傷つけたくなくて、必死だった。
「聞きたくない」
「太陽」
「もう、うんざりだ。八年も消えてたんだ。次に会うのは10年後か? お前はそんなに俺に会わなくても平気なんだから、今さら許して貰うなんて、おかしいだろ。誰が許すんだ?」
自虐的に笑うが、太陽は泣かなかった。
泣かない代わりに、泣きそうに悲しいブーケを俺へ投げつける。
宙に散らばる青い花弁が、まるで涙のように辺りを埋め尽くし、視界を奪った。
「椿は、もう一ミリもお前を覚えてない。ざまあみろ」
くくっと笑うと、机を蹴飛ばし小さくいてぇと零す。
「今さら、俺たちの前に現れたら迷惑ってことだ。お利口なお前になら分かるだろ? 寒田さんよぉ」
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