十三言、嘘つきな花束。

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それは、大きな大きな嘘だった。 拒絶して、もう俺なんて信用できなくなるぐらいの、嘘。 俺が想像していた以上に太陽は、繊細で壊れやすい性格だったんだ。 壊れて傷ついた心を癒すには、――傷つけるものを拒絶して受け入れることや許すことはしない。 太陽を捨てた母親のように。 頑なに母親と会わず、母親を頭の隅から追い出したように。 太陽はもう俺という存在を追い出したいんだ。 それが、現実なんだ。 「太陽は、椿君の世話を手伝ってくれるなら、俺じゃなくて良かったですか? もし千秋先生の親に反対されてなかったら、彼女との道を選んでましたよね?」 「何が言いたいんだよ」 「俺は確かに貴方を傷つけました。傷つけて、泣かせて、抱きました。いや、抱かせてもらいました。でも俺は、寂しいからと太陽の代わりに雷也を傍に置くつもりも、誰かと婚約するつもりもありませんから」 浅ましく縋って、こんな惨めな姿、太陽からはどんなふうに映っているんだろうか。
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