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「ん?」
「じいちゃんの墓参り、忘れてたろ。命日ぐらい覚えておかないと」
「あー……はいはい。適当に花でも見繕うか」
借金山盛りてんこ盛りのくそジジイなんて悲しむ間もなく挨拶もする暇なく借金返済に追われてたから多目に見てくれよ。
「俺の子育て、じいちゃんが手伝ってくれたんだろ」
「あ?」
「あの可愛かった保育園の先生が前に言ってた。椿くんは覚えてないだろうけど、お父さんは一人じゃないから頑張れたとかどうとか……」
「それ、いつの話? お前千秋の事覚えてんの?」
「ちあき? そんな名前だったけなー。うん。なんかふんわりと花みたいな先生」
こいつ。可愛いモノ好きなのはまぁ良いとして、だ。
千秋も忘れてるなら。
あいつなんて影も形も思い出せないだろうな。
「まぁジジイは役には立たなかったがお前の面倒は少し見てたかもしれんな」
「やっぱな。俺、じいちゃんの眼鏡を見上げるの好きだった」
……椿。
ジジイは眼鏡してねぇよ。
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