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直ぐ様カーブで追い越して、ミラーでどんな奴かチラリと見てみた。
黒のライダースーツからはガタイの良さが見てとれた。
だが形から入ったのであろう黒のライダースーツやら有名ブランドのバイクやら。
初心者臭くて物足りない。
最近は親父さんと肩を並べて走る俺にとっては。
丘の上に到着し自販機でココアを買っていた時だった。
「きゃー! KENNかっこいいー!」
「あーん。ライダースーツ似合ってるー」
「喉渇いてない? スポーツドリンクあるよー」
黄色い歓声があがるそちらを見ると、女に囲まれているのはさっき俺が追い抜かしたバイクの野郎だった。
「ふー。お前らどっから俺の情報集めてくるんだ?」
「だってKENNがミュージックタイムでバイク買ったって言ってたもん」
「KENNのオフの日は把握済みですーぅ」
「怖ぇーな。女は」
バイクから降りたその男は、ヘルメットを外すと汗一つかいていないウェーブかかった前髪を左右に振る。
低い男らしい声からは自信が満ち溢れている。
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