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「誰すか。さっさと商品の前から退いて、帰ってくれ」
10年も経っているのに、よくもまあまた俺の前に現れたと言ってやりたい。
顔の造形が分からなくなるぐらい殴ってやりたい。
「やはり、太陽の造るブーケは美しくて、そして少し寂しい」
「お前には、関係ねーけど?」
「恋人、できたんですか?」
「――!?」
「貴方は一人で椿君を育てていない、と聞いたので」
寒田の言っている意味が分からず、眉間に皺をよせながら睨みつける。
「俺の代わりが、もう貴方の隣にいるんですか?」
寂しく、そう笑う寒田に血管が切れるかと思うほど、キレた。
殴ろうと思った俺の右手は、テーブルの上に置かれていた花瓶を握り、
代わりにそれを降り掛けていた。
「ふざけんじゃねーぞ!」
突き飛ばし、濡れそぼる寒田を睨みつける。
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