十五言、緑

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何で、そんなこと、お前が言うんだ。 椿を一人で育てていないのは、――お前が居たからだろ!  甘えは、俺を――。お前が俺達に嘘をついたくせに。 「親父!?」 タクシーから降り立った椿が、此方に向かってくる。 高級そうなシャンプーの香りを髪から香らせながら。 「椿! お前は二階へ上がっていろ!」 「彼にも聞く権利があるはずですよ」 「お前が言うな。ぶっ殺すぞ!」 バットタイミングで帰って来やがった椿に苛々しつつも、テーブルの上に置きっぱなしにしていた、花切り鋏を寒田に振り上げると椿が慌てて俺を羽交い絞めしてきた。 「落ち付けってば。親父っ」 自分でも、子供の前だった分かってても抑えきれない。 「こいつは――こいつは! お前と俺にっ」 冷静じゃいられない。 今のタイミングでは、椿にとてもじゃないが聞かせてやれない。 「すいません。椿君、やはり少しだけ席を外してもらってもいいですか?」
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