十五言、緑

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「太陽に嫌われているのを受け止めたくなくて逃げました」 「太陽『さん』だろ。もう他人なんだから余所余所しく呼べ」 「まだ……いえ。一生、俺は太陽さんを思うでしょう。この先もずっと」 嘘をついてまで、だろ。 傷つけても、嘘をついてでも、お前は欲しいものを手に入れたいだけ。 自分勝手な野郎だ。 そんなヤツ、吐き気がするぐらい大嫌いだ。 それなら、さっき会った下心全開のげーのーじんの方がまだましだ。 アイツは視線だけで俺にゲイだと言って反応を試したぞ。 視線だけで俺がゲイに嫌悪感がないと分かるやらオープンに口説いてきた。 それはまず自分の性癖をオープンにして何も隠さずぶつかってきたからだ。 今の寒田は、あのげーのーじん以下だ。 「じゃあ証明します。18年間の気持ちを証明します。毎日会いに来ます。嫌がられても無視されても来ます」 嘘つきのくせに、俺にそんな台詞を吐くのか。
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