十五言、緑

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「お前は、俺が18年前のまま、お前を許せないだけで怒っているように見えるのか?」 ゆっくりと視線を絡めた。 18年ぶりに、寒田を見つめる。 「悪ぃが、俺はお前にもう好意は一ミリもない」 正直な話だ。 これから先、許せてもう一度恋人に戻るつもりは毛頭ない。 これ以上はもう俺たちには先が感じられなかった。 楽しかった思い出も、セピア色に染まって色褪せていく。 それぐらい、俺は信じきっていたお前の嘘や、 俺から逃げた10年が許せなかった。 「じゃあ……やり直します」 立ち上がった寒田は、濡れた髪を掻き上げながら言う。 「もう一度初めから、太陽さんを口説きます」 「椿の子育ても、バイクの修理も、もう会いに来る口実は全てないのにか?」 鼻で笑うが、寒田は真面目な顔で真っ直ぐ俺を見る。 「貴方を好きという口実があります」 嘘もないと真っ直ぐに。
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