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「あの小さかった椿が、恋をしてるらしい」
俺から話しかけられたからか、椿が恋をしているからか、寒田は目を見開いた。
「オムツ代えたり、ミルクやったり、誘拐されたりしたあの椿が、花を食べたい衝動にかられるような燃え上がる恋を……しているらしい」
それはちょっと寂しくて、何だか嬉しくて、
心配だけど俺からは手を離れて、椿自身が悩み傷つき幸せになるための感情。
「俺は……願うよ。椿の気持ちがうまくいくように。相手と気持ちが通じるなら、男でも女でも俺は構わない」
ただ、願う。そして、祈る。
「別れは胸を抉るから、嘘だけはつかないでやってほしいな。泣いてもいい、傷ついてもいい、ただ逃げてしまうような恋にならなきゃいい」
「太陽……。俺が貴方を傷つけるだけの存在でも、それでも好きな気持ちは止まらないんです」
「椿の恋は応援してやりたいが、俺はもう甘い恋なんてしたくない」
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