十八言。デート×デート

3/49
2918人が本棚に入れています
本棚に追加
/452ページ
クリスマスを仕事だけで終わらせる日が、もう何年も続いていた。 微かに雪が降るクリスマス。 満身創痍の俺はソファに寝かされ、丸まって眠っていた。 起こしてくれるのは、誰だ? 深い深い眠りなんだ。 体を、心を守るために、ぎゅっと小さく丸まってるんだ。 疲れてなきゃ眠れないから無理に仕事を詰め込んだり、 身体だけを重ねて泥のように疲れさせて。 誰か。 誰か起こしてくれ。 ずっと丸まって寒さを凌ぐだけなんてお断りだ。 誰か。 ブォォン その時、店の前でバイクの音がした。 ブォォン ブォォン ブォォン 夜中に吹かしやがって。 うるせーな。 ブォォン そのバイクの音に、重たい目蓋を開くと、 ゆっくり窓辺へ歩き出す。 窓の下にはゴツいバイクが止まっていた。 「メリークリスマス、太陽さん」
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!