恋人週間

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「ぶっ」 「うわっ汚い!」 椿が、ティッシュ箱を部屋から取ってくると、テーブルに散らばった珈琲を拭いてくれた。 や、拭いてくれたっていうか、驚かしたのはこいつなんだけど。 「お前は、雷也の作詞家だろ。ってか、花屋はまぁ好きにすればいいが、花屋のホームページで販売してた小物とかどうすんだ? お前、作詞家もして小物も作って、マネージャーもやりたいのか? あほか?」 いくら椿が有能でも、全部やろうとするのは無謀だと思う。 「俺、親父みたいな才能が無いことがコンプレックスだったから、何か違うこともしたいって手探りで小物も作ってみたけど、俺、作詞も楽しいしその、――俺」 椿は大きく息を吸い込むと覚悟を決めて、声を絞り出した。 「雷也さんの力になりたい。支えて支えられたい。だから、――だから雷也さんと一緒に住もうと思ってる」 マネージャー。 同棲。 コンプレックス。 椿から次々に出るのは、俺が今初めて知ることばかり。
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