甘い恋の、嘘をちょうだい

2/20
2920人が本棚に入れています
本棚に追加
/452ページ
今も緑に抱きしめられた温もりが肩に残っている。 大切だった。 今はもう、――後悔しかしない恋だった。 これから一緒に居るには、辛すぎる。 俺と緑は、思い出を美化しすぎて、時間が止まったまま。 だけど、俺の時間を動かしてくれたのは、緑ではない。 緑には、素直じゃない俺でも全て受け止めて包んでもらえた。 俺はあいつに甘え過ぎていて、我儘になっていて、だからあいつの嘘が許せなかったんだ。 俺は、今度は受け止めてやれるような大人になれるだろうか。 俺の為に、KENNがついた嘘を、俺は――笑いとばしてアイツにちゃんと言えるんだろうか。 飛行機の中で、小さくなる沖縄を見ながら、不覚にも涙しか出て来なかった。 こんな情けない俺は俺じゃない。 俺はもっと強くて、一人でも生きていけるような奴だったはずだ。 こんな俺を俺は受け入れてくなくて、情けないしみっともないし。 このままいなくなれるならなっている。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!