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「千秋と別れた。や、切り出されるまで恋人としての言葉なんかあげたことなかったんだけど。子持ちの高卒の元ヤンなんかと付き合えば――まぁあんな初々しい子は反対されちまうよな」
「太陽さん……」
「椿は可愛いし、俺はこの現状で不服じゃなかった。ただお前や、千秋みたいに優しい奴を見ると、衝動的に気持ちがこみ上げて来て泣きだしたくなるんだよ」
この気持に理由とか意味とかあるならば、誰かに教えてほしかった。
でも、言えない。でも、伝わらない。
上手く言葉に出来ないんだ。
「ごめんなさい。――太陽さん」
緑の、俺を抱き締める力が強くなる。
懺悔するかのように、俺に赦されたいかのように、悲痛な叫び声だ。
今、懺悔しているのは、俺なのに。
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