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俺が荒れてたのは、行き場のない寂しさや衝動からなのか。
こうやって受け止めようと抱き締めてくれる緑の体温は暖かい。気持ちが良い。
頬を伝う涙が、淡い光に照らされていく。
その涙を緑は『綺麗だ』と言う。
舐めとった涙で濡れた唇。
嘘をついているその唇が濡れている。
艶やかに光る唇に、自分の唇を重ねた。
しっとりした感触に、塩辛い涙の味。
その日のキスは、緑の方が積極的で。
辿々しかったくせに、上手に舌を絡ませていた。
吸い付き、絡め、歯をなぞる。
誰かの唾液が気持ちいいなんて。
誰かの腕の中が心地良いなんて。
誰かの眼差しが愛しいなんて。
不意に押し寄せて涙と共に溢れた感情を俺は言葉にするのは止めた。
椿が大人になるまでは一人で頑張ろうって。
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