2918人が本棚に入れています
本棚に追加
/452ページ
防水ではあるが流石に心配になったので携帯を取り上げて、拭くと耳に近付けた。
「どうだ」
『何だ、お前、鼻息が荒いな』
「鼻息じゃねーよ。今、携帯を噛んでたのは息子の椿だ。エンジェル椿だ」
『あ?』
じじいが入れ歯でも入れ忘れたような魂が抜けたような声を出す。
「もうすぐ一歳になる子供がいるんだ。連休取れたら遊びに帰ってやるよ」
じじいが椿を見ても尚、頑固なクソジジイで居られるか見物だ。
案外、曾孫にデレデレしたりして。
『こんのクソガキがぁぁぁぁぁぁぁ! てめーは自分の母親がどんな親だったか忘れたのか! ああん? 思い出させてやろうか!』
「まぁ、ブチぎれるわな、帰る帰る。そんなに大声出すと、腰に響くぞ」
『もう響いてるわ! このクソ野郎がっ』
爺の血管が切れかねないのですぐさま電話は切った。
しょうがないから、今度の土日に帰ってやろうかと思う。
最初のコメントを投稿しよう!