四言、椿姫を探せ。

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椿が横で眠る中、起こさないように声も殺す。 優しい緑の手つきは、焦らされているようで、もはや拷問でしかなくて。 こっちが誘い、余裕がないぐらい追いつめてやる。 行為は、緑が執拗にほぐし焦らし、こっちが恥ずかしくなるぐらい丁寧にしてくれたが、 初めて受け入れるのは、やはり痛かった。 「いってぇっ」 布団を噛んで押し殺すけど、声は抑えられない。 優しく髪をなでられ、キスされ、涙を吸われ、 痛いけど、――その痛みさえ、この不器用な緑らしくて可愛いと許せた。 愛しい、可愛い、――温もりが愛おしい。 キスだけじゃ満足できない。 優しい愛撫だけでは満たされない。 もっと奥まで来い。もっと奥まで貫いて、俺を満足させて、緑で満たせろ。 観念した緑が、理性を壊して噛みつくようなキスをしてきた時、ようやく落ちてきたのかと笑いが止まらなかった。 その真面目ぶった嘘の顔を、引きはがしてやる。 さっさと本性を曝け出して、乱れて余裕のない顔をしやがれ。
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