プロローグ

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「なに見てるんだよ、宮沢初乃(みやざわはつの)」 顔をあげてぼんやりしていると、目があってしまった。 教室後方から矢野が高圧的な調子でいう。 私はあわてて目をそらした。 その瞬間。 ざばあという音がきこえた。 私のすぐまうえから。 そして私の頭からしたにむかって冷たい感覚が広がった。 一瞬なにが起こったのかわからなかった。 きょとんとして、とまってしまう。 だが、そんな私にもひとつだけすぐに気づいたことがある。 水びたしだ。 私はなぜか水びたしになっている。 なんで? その疑問は、私の横に投げ捨てられた掃除用のバケツが教えてくれた。 どうやら誰かに水をかけられたようだった。 背後から。
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