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「うん。ごめん」
それでも母に心配をかけないようにベッドから上体を起こした。
ベッドのうえに座りこむ
母は数歩先のドアのところから、ベッドにいる私と机のうえの求人情報誌のフリーペーパーを交互に見た。
おそらく事情はつたわったのだろうが、なにもいわない。
それがきっと母の気づかいであり、やさしさなのであろう。
入学まえにセリーヌのハンドタオルをプレゼントしてくれたときのことを思いだした。
そんな気持ちが痛いほど私につたわり、胸がきゅっと苦しくなる。
「ごはんできたら呼ぶから、たべにきなさい」
そういってドアをしめた。
私はまた感情があふれそうになっていた。
そとで大泣きしている雨とおなじにならないように、ぐっと奥歯をかみしめた。
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