Ⅲ.風の軌跡

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次の日、学校にいくと私はまずケータイ電話を拾いにいった。 もっとも、屋上に忘れてそのまま放置されているはずなので、拾うというより探すといったほうが正解だ。 おまけに見つかる可能性はかぎりなく低い。 おとといの夜から今の今まで、ひと晩とまる一日あんなところに放置されていたのだ。 屋上には昼休みや放課後、ヤンキー連中がでいりする。 昨日も昼休みに矢野たちは集団であそこにいっただろう。 そんな場所に私のケータイが壊れているとはいえ放置されたままでいるのだ。 おもいきりひいき目に見ても、ぶじであるとは考えにくい。 盗まれていると考えたほうが自然だった。
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